終焉迫る余部鉄橋とキハ181系

特急「はまかぜ」用の新型車両キハ189系が完成したとのニュースが入り、いよいよキハ181系の引退も近くに迫ってきました。181系は昔乗った事がありますし、自分に葬式鉄の趣味も無いので乗り納めをしようか迷っていたのですが、余部鉄橋が7月に使用終了になると聞き、旧橋梁を一度は見ておこうと思いまして、GWを避けて2010年4月25日(日曜日)に浜坂まで出かけてきました。

「はまかぜ」には帰りに乗ることにして、行きは新大阪09時04分発の特急「北近畿3号」で城崎温泉まで行くことにします。国鉄を代表する特急電車485系も全廃が近いといわれており、そのうち485系の乗り納めをしようかと思っていたのですが、「北近畿」に使われる183系は485系を直流専用にデチューンしたもので車体も走行性能も全く同じです。

窓下のピンストライプを除けば、どう見てもクハ481-200です
ちなみにこれは新大阪駅18番線で、後ろはおおさか東線ホームの用地と言われている。

GW前だから始発なら座れるだろう、それより席を自由に選べた方がよいと思い自由席特急券で乗り込みます。最初はモーターの無い4号車クハ183に乗ったのですが、座席が昔の簡易リクライニングシートを改造したタイプでした。
先日廃止された夜行急行「能登」と同じタイプです。
隣のモハ183を覘いてみるとJR初期に流行したタイプのリクライニングシートに交換されており、「改造より新型」ということでこっちに移ります。

座席の改良が進んだ現在では確かに厳しいですが、国鉄時代の回転クロスや簡易リクライニングシートがありふれていた20年前はこれに交換されているだけでも十分なグレードアップでした。
ちなみに指定席も先頭車=改造、中間車=交換でした。やはり選り好みのできる自由席で正解だったようです。

直流区間しか走らないためドアのステップは埋められていますが、それでもステップがホームより高く、実際に乗ろうとするとかなりの段差があります(スペランカーなら降りるときに死ぬぞ)。

実はこの旅の数日前に大阪・新大阪駅の駅弁屋「水了軒」が破産しています。
新大阪駅在来線コンコースにて
名物の「八角弁当」でも食べようかと思っていたのに残念。しかし構内には他の弁当屋もあり、駅弁レーベルではないようですが種類も豊富で淡路屋の神戸・明石駅弁も扱っています。ここで淡路屋の「バラエティ弁当(840円)」を購入しました。
中身は写し忘れたorz
どうやらこれも駅弁レーベルではないようですが、シューマイに天ぷら、唐揚と和洋中華揃ったいい弁当です。水了軒の破産を機に淡路屋の大阪進出が進めば駅弁昇格もあるかも。

駅弁を食べてるうちに「北近畿3号」はガラガラの状態で新大阪を出発。大阪、尼崎と停車してようやく乗車率50%を越えたかという程度。連休でない日曜(ビジネス客も観光客もいない)だとこんなものでしょうか? 実はこの日は尼崎の福知山線脱線事故からちょうど5年になる日でもあり、「北近畿3号」はちょうど事故時刻ごろに現場を通過します(当時の「北近畿3号」は事故直後に非常ブレーキがかかり事故現場の手前で急停車、危うく多重事故を逃れている)。

事故の影響で福知山線ではスピードを出さなくなっており、余裕のある走りのため揺れないし静かでもある。篠山口まで来て結構遠くまで来たなと思ったが停車している電車は地元で見慣れた207系だったりする。

高架駅になった福知山駅を見るのは初めてである。ここで少し遅れてやってきた京都発天橋立ゆきの「はしだて」と同じホームで接続するが、「北近畿」の乗客のほとんどが「はしだて」に乗り換えた反面向こうからの乗り換え客はおらず車内はガラガラに。まあ天橋立はともかく城崎温泉なんて日曜日の朝に出かけるもんじゃないからねえ。

ガラガラになった車内を観察する。183系電車はそれなりにリニューアルされていてサービスレベルは新型車両と比べてそう劣らないが細かく見ると痛みが目立つ上にバリアフリー未対応なのでそろそろ寿命だとよくわかる。11時51分に終点の城崎温泉に到着。

城崎温泉で普通列車に乗り換え。電化でほとんどの特急がが城崎温泉どまりになったためかえって不便になったように思える。同じホームから11時55分に発車。

城崎温泉−浜坂間の普通列車はキハ47のリニューアル車統一されています。

ワンマン運転に向いていないキハ47。デッドスペースを平気で作るJR西日本。

リニューアルされたといっても車内はボックスシートのまま。整備状況は良好だし、汽車っぽくていいけどね。
観光路線であることや特急との接続も考慮して同じキハ47の「瀬戸内マリンビュー」みたいなリゾート列車を走らせてもよいと思うのですが・・・

案の定、「単行で十分だけど、両運転台車が無いんだろ。」と思ってしまう乗車率ですが、浜坂からは観光のおっさん集団がビール片手に乗ってきて多少賑やかに。


行き違い設備が使用停止になって向かいの線路とホームが荒れているいる柴山駅。
特急が3往復しかないローカル線じゃねえ。昔はブルートレインも走る幹線だったのに。

列車に乗ってると橋梁が見えないのですぐには余部橋梁と気づきませんでした。短時間で渡ってしまうためまともに写真を取れず。
仕方ないので防風フェンスにかかった1枚をうp。

確かに景色はいいんですよねえ。建設中の新橋梁は山側だから邪魔になってないし。

乗り鉄らしい乗り鉄を楽しみながら12時59分に浜坂に到着。
蒸気機関車時代の給水塔があったので撮影。

浜坂駅、逆光で写りはイマイチ。

構内に駅弁屋はありませんが、待合室の売店に駅弁が置いてました。
この駅弁を作っている「米田茶店」は地元の商店です。

地元民向けの日用雑貨・惣菜弁当と旅行者向けの駅弁・おみやげなどが共存しているコンビ二です。
有名なカニ弁当は売り切れでしたが、「余部鉄橋物語」というのがあったので購入しました。

さて帰りは浜坂始発の特急「はまかぜ4号」に終点の大阪まで乗ります。どうせ空いているのでまた自由席です。
終着大阪駅で撮影
以前キハ181系に乗ったときはJR四国色だったので、国鉄色の181系はとうとう乗る機会はありませんでした。
(引退直前にリバイバルカラーになるから諦めるな? 別に興味ないです。)

窓越しで写りが悪いですが、向かいのホームに停車していた首都圏色のキハ47。
形はリニューアル車なので、塗装費用削減のための最近単色化した車両のようです。


グリーン車は色こそ変わっているものの旧式のリクライニングシートのまま。
今となっては現存する唯一の「国鉄のグリーン車」なので好きな人にはたまらないでしょうが。
カニシーズン以外は神戸に行く県会議員しか乗らないらしく、後継車両189系はモノクラスです。

普通車は「北近畿」と同じ(新品の方の)リクライニングシートに交換されています。柄も同じ。
駅弁食べる分にはグリーン車より背面テーブルのあるこっちのほうがいいですね。
ちなみに列車の全面禁煙化が進んだ現在、「北近畿」は肘掛けに収納された灰皿を埋めていましたが、
「はまかぜ」は禁煙シールで封印しただけ。
そのうち灰皿も「テーブル下の栓抜き」同様若い人にはわからないアイテムになるんでしょうね。

「はまかぜ4号」は13時30分に浜坂を出発。私は「余部鉄橋物語」を食べることにします。
持ち帰った包み紙
包み紙には廃止直前に撮影された寝台特急「出雲」の写真が。まあ歴代の余部通過列車で一番華のあるのはこれでしょうね。急行時代も含めて唯一の東京直通ですし。


海老、ホタルイカ、昆布など海関係のオンパレード。白飯とカニ寿司が一緒に入っているのはご愛嬌。食べてる間に実際の余部鉄橋も通過しました。

この列車、車内販売は豊岡までとのこと。城崎・豊岡からそこそこ乗ってくるのに、なぜガラガラの区間だけ?

豊岡あたりで乗車率が50%を越え、和田山から播但線に入る。私は播但線に乗るのは初めてだが、午後になって疲れてもきたので寝オチ。高架化された姫路に入る段階で目を覚ます。姫路では進行方向が変わるため座席を回転させる。

姫路から山陽本線〜東海道本線に入り、キハ181系のエンジンを全開にして高速走行する。しかし加速がトロく、駅に停車するときしか普通・快速を抜けないのが悲しい。新快速があるというのに姫路から乗ってきて車掌に特急料金を払う人もいた。まあデッキつきで223系よりは快適ですからね。この後は見慣れた地元の景色を眺めながら17時10分に終点大阪に着いた。

それから1年後、新型車両に置き換えられた「はまかぜ」で新餘部橋を渡りました。→移動

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