国鉄型車両乗り継ぎ旅行2011・前編

国鉄の分割民営化から24年、国鉄時代の車両が次々と姿を消す中、急行「きたぐに」に使われる583系寝台電車もリニューアルからですら20年近く経ち先が長くないといわれている。派生型である419系も今年引退しており、583系に乗るならもう最後のチャンスだろうと考え旅に出ることにした。

月曜の朝に帰ってきてそのまま出勤しようと考え2011年8月14日の上り「きたぐに」の寝台券を先に確保していたが、せっかくだからこっちも先が長くない急行型電車475系にも乗っておこうと考え特急「サンダーバード」で大阪から金沢まで行く。

8月14日の朝8時過ぎに大阪駅11番線に出る。8時12分発の「サンダーバード5号」は自由席の列にかなり並んでいたため金沢からの乗り継ぎが変わらないことを確かめて見送り42分発の「7号」を待つ。「サンダーバード」は一番古い車両が1992年製で年次の差がかなりあるのだが、やってきたのは最新型の683系4000番台(通称ヨンダーバード)、結構運がいい。

681系初期車に乗って以来16年ぶりとなる「サンダーバード」だが、当時の印象は記憶に薄く、この前乗った287系に似ているという感が強い。ただ自由席に乗ると意外と空いていて私の隣には誰も座らなかった。

さっそく駅弁を広げることにする。大阪駅ホームの弁当屋「旅弁当」で淡路屋の「六甲山縦走弁当」を購入していた。笹包みに握り飯というレトロな弁当のデザインとコンパクトで値段が手ごろ(早朝にパンを食べているので軽いのでよかった)なのに惹かれて選んだのだが、明石の蛸、神戸の牛肉と神戸の駅弁らしい具だけでなく卵焼きや鮭など幕の内弁当並みにバラエティがありとても600円とは思えない。

京都に停車する前後で「次は福井」という放送があり、そんな遠くまでノンストップかと少し驚く。必要ないので途中停車駅を確認していなかったのだがこの「7号」は「サンダーバード」で一番停車駅の少ない最速達列車だったのだ。石川県の温泉郷を全部スルーするため前の「5号」ほど混んでいないのだろう。

窓から琵琶湖を眺めていたが、北陸線に入る頃になって寝オチ。朦朧状態で敦賀を通過、保留車の419系を眺める。

先行列車の遅れで徐行したため数分遅れて金沢に到着。ここで増結の10〜12号車を切り離すが、前よりの車両を切り離すため効率が悪く8分も停車する。スピードが売り物の「サンダーバード」でこのタイムロスは結構痛い。683系4000番台は大阪寄りに増結することも可能だが限定運用で効率悪くなるからね。このまま終着の富山まで乗っていてもいいのだが、475系に乗るためここで下車する。

…と旅の最初は最新型でしたが、ここからはずっと国鉄型車両です。

今年3月のダイヤ改正から、敦賀〜金沢間の普通列車はほとんどが新型の521系になっており、国鉄型車両の旅はこの金沢から始まります。521系に乗ろうかなとも思ったのですが、関西の新快速とあまり変わらない車両なのでここまでサンダーバードで来て時間に余裕を持たせ、413系だったら何本か見送る覚悟で金沢〜直江津間で475系の普通列車に乗ることにします。

521系。敦賀―金沢間ですれ違う普通列車はこればっかりだった。

一色塗りの415系。輪島塗りがモチーフらしい。

485系3000番台。「北越」にはこのほか上沼垂色や国鉄色も使われる。

最初に狙うのは金沢11時59分発の富山行き447M。いきなりビンゴで期待通りの475系、しかも最近話題の青一色塗装でした。

金沢は暗くて写りが良くなかったので途中停車駅で撮影。

米原寄りからクハ455、モハ474、クモハ475の3両編成。車内はデッキ付近がロングシートになり、シートモケットが茶色になっているものの往年の急行型車両の面影をよく残しています。さすがにサンダーバードと比べると見劣りしますがそれでも昔はこの車両が大阪ー金沢・富山間の優等列車に使われていました。冷たい風に当たりながらこの車両が製造当初は非冷房だったことを思い出し、恵まれた時代だなと実感。便所・洗面所はクハを残して撤去されたのはどの編成も共通ですが、デッキの仕切りは車両によって撤去されたり残ったり混在しています。

伝統のボックスシート。


テーブル下の栓抜き。知らない人が見ればタダの危ない突起。
いすみ鉄道のキハ52ではこれを使うためだけに瓶飲料の車内販売も。

初期型は荷棚が本当に網です。ちなみに富山からの457系はパイプ棚でした。

先ほどからのダイヤの乱れもあり3分遅れの出発となりましたが、津幡での特急退避の停車時間を削ってすぐ定刻に。乗車率はどのボックスも埋まる程度でしたが、青春18きっぱーなのか荷物の大きい乗客が多く、大半が富山までの通し乗車でした。元急行用だけあって駅間では快調な走りを見せ定刻13時08分に富山に到着。

ここで13時18分発の直江津行き545Mに乗り換えますが、昼食として駅弁が欲しいところ。しかし富山駅は高架化工事中のため仮ホームで駅舎からかなり距離があり、走るほどではないにせよ改札外の駅弁屋に行くには厳しいところ。迷ってる暇は無いと考え超定番の「ますのすし」を購入して545Mのホームへ。

545Mは白い車体に青帯の電車。最近塗装コスト削減のため単色化が進むJR西日本だが、JR初期から使われているこの北陸色は結構気に入ってるだけに残念である。北陸地方の急行型車両は機器の違いで形式が分かれているが、この列車に使われているのは最終バージョンの475系。東日本・西日本両方の周波数で使えるが、残念ながら485系「白鳥」のような東西通し運用をやったことは無い。455系が現存しないJR東日本に貸し出してイベント列車にしたら話題になりそうだが。

JR初期の北陸色。個人的には気に入っているのですが。

545Mはどのボックスも埋まる程度の乗車率。ボックスシートだと数値上の乗車率は低くても他人のいるボックスに割り込みにくくて混んでいる印象を受けやすく、これがロングシート派の主張にもなっている。急行型のボックスシートだと窓辺のテーブルに飲み物を置くのが精一杯で(115系やキハ47など普通列車用だとそれすらない)、個人用テーブルのある特急の座席じゃないと駅弁を食べにくい。特に「ますのすし」は容器が複雑なので膝の上で開けるのに苦労した。皆様も駅弁を買うときは乗る車両と容器デザイン考えて選びましょう。


押し寿司だけあって、開封は押さえを外すところから。撮影場所は管理人の膝の上。


んでもって中身。付属ナイフで切るのはコツがいります。

海側の座席に座って車窓を楽しむ。時々山側を見ると北陸新幹線の高架橋が結構できており、ホントにまだ3年もかかるのかと思う。

去年「トワイライトエクスプレス」車内から撮影した北陸新幹線。


キハ120に置き換えられた大糸線ですが、糸魚川駅ホームにはキハ52三兄弟のパネルが残っています。ちなみにパネルの後ろで新幹線建設中。

特急「白鳥」停車騒動で知られる能生、その次はトンネル駅の筒石に停車。このトンネル駅、光が窓で反射してまともに写真撮れませんでした。

乗り継ぎを含めると金沢から3時間以上旧式のボックスシート車に乗っていますが、元が急行用であることもあってつくりがいいのか疲れを感じません。今回は空いているので足を伸ばしていますが、昔は満員の臨時大垣夜行で大垣から川崎までクハ167のトップナンバーにずっと座っていたことがあります。そのときは一睡もできなかったものの窮屈とは感じませんでした。

15時22分に直江津に到着。以前来た事があるのでホームの雰囲気は覚えているのですが、改札は橋上駅舎になって印象が変わっています。改札入ってすぐのところに駅弁売りがいておっさんが元気な声をあげている。まだ食事の時間ではないが覚えておこう。

さて、ここから特急「北越」で一気に新潟へ行こうとも思ったのですが、この区間に「北越」と同じ485系を使う乗り得快速「くびき野」に乗ることにしました。それまで時間があるため、短距離切符を買って「くびき野」始発駅の新井まで行きます。

15時36分発の長野行き普通列車350Mに乗車、長野色の115系です。室内はリニューアルされて座席は新しいものに交換され内装も多少きれいになっていますが乗客が多いため座れたものの車内を無神経に撮影できず。

最近JR東日本から113系が無くなると話題になっていますが、私の住むJR西日本管内には多数残っていますし、東日本でも115系が長野・新潟に多数残っているので特にこれといった気持ちはないです。113系と115系って乗る分にはほとんど変わらないし。

脇野田駅では北陸新幹線の高架橋がすでにできあがっています。しかし地上からの遠目ではここにできるはずの上越駅は確認できず。衛星写真でも路盤だけで駅舎や移転する在来線は着工していない様子。

脇野田駅ホームから撮影した北陸新幹線上越駅?

16時10分に新井に到着。ここで下車して折り返しの「くびき野」を待ちます。

続く

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