2009年12月13日、日曜日に日帰りで大井川鉄道に乗りに行きました。最初は温泉に泊まってアプト線に乗ろうかとも考えたのですが、プランを検討した結果千頭までのトンボ返りでも結構な乗り鉄になることが分かったためそのまま出かける事に。

出発は新神戸駅から。実は私、一人でここに来るのは初めてです。地下鉄乗換えが面倒で大抵新大阪に行っちゃうため、ここに来るのは修学旅行で学校からバスで来たときと親に連れられて布引ハーブ園に来た時くらいで後は北神急行試乗で地下鉄をスルーした程度。今回は少しでも長くN700系「のぞみ」に乗りたいという理由でわざわざここに。構内食堂を営業している「みかど自由亭」は日本で初めて食堂車を営業した業者(当初山陽鉄道の直営だったが、サービスがイマイチなので委託することになり応じた)、その隣にある駅弁屋「淡路屋」で予約しておいた「神戸ワイン弁当(1600円)」を購入。


7時45分発の「のぞみ110号」に乗車、さっそく弁当箱にワインが入っていることで有名な駅弁を開ける。

「朝っぱらからワインだなんていいご身分だな」なんて思わないでください、普段仕事でバイクに乗ってるから飲めないんです。
写真ではカレーピラフと薄めのステーキが見えますが、ステーキの下にはハム入りのパン切れがあります。これをつまみながらワインを飲むと結構合ってるというか。

開業当時は日本最長だった六甲トンネルを抜けると私の生まれた西宮市の町並みが見えてきて懐かしく感じる。ちなみにトンネルの上は有名ライトノベル「涼宮ハルヒの憂鬱」の舞台でもある。阪急新大阪線の予定地を利用した拡張工事が始まってるのを見ながら新大阪着。案の定ここで座席が埋まり、次の京都で満席に。普段は新大阪で乗降するのでここを乗ったまま抜けるのも初めてである。

N700系はJR東海が総力を挙げて開発した車両だけ合って快適そのもの。ワインを飲みながら車窓を眺めているとすぐ名古屋に着いた。名古屋からは8時20分発の浜松行き特別快速5104Fに乗る予定だったが本来なら乗り継げないはずの8時50分発豊橋行き5102Fが遅れて入線してきた。オール転換クロスの313系5000番台だったので(5104Fは調べたところ0番台)迷わずに乗りこむ。

313系5000番台(帰りに撮影)

普通の3扉転換クロス車だと扉の横が固定で車端部がボックスシートだったりするが、313系5000番台は全ての座席が転換クロスシート。転換クロスシートといいながら向かい合わせになることが多い関西のJR西日本223系や阪急9300系もそのあたりを見習って欲しいものである。内装も水色のシートモケットなど「明るさ」を感じさせるデザインが好感を持てる。「JR倒壊」「火災会長」などと鉄道ファンに嫌われまくってるJR東海ですが、車両のクオリティは非常に高いですね。(かつては221系やトワイライトなど評判の高かった西日本は最近は手抜き過ぎ、新快速は窓側に肘掛けないし…)

貨物列車が先行しているのかスピードがあまり出せず、名古屋では5分遅れだったのが豊橋終着時は10分まで拡大。
接続する浜松行き普通列車3922Mは3分遅れで出発した。引退の近づく117系に乗って浜名湖の車窓を楽しむ。

浜松からの興津行き764Mは静岡で顰蹙を買っているオールロングシートの313系2000番台。名古屋で普通列車に使っている311系と交換すべきではないのか? 座る気もなくなったので運転台後ろに立って東海道の車窓を楽しむことにする。

11時9分に金谷着。JRの駅舎から少し離れている大井川鉄道の金谷駅は自動改札機などの近代的な設備が無くいかにも昔のローカル私鉄といった感じがする。

見た目は寂れているが、連休でもないのにSL急行に乗ろうとするものが多く売店は品揃えが豊富で活気がある。12年前はこの売店で駅弁を買ったのだが今回はスーパーで売ってるようなポリ容器の弁当と静岡空港の空弁しかない。あらかじめネットで調べて予約しておいて正解だった。結構時間があったのだが、切符を購入したり、駅舎や観光案内を眺めているうちにSL急行「かわね路」号の入線時刻が近づいてきた。


金谷には機廻し線が無いため、上野駅のように推進運転でやってくる・・・と思っていたら電気機関車を先頭にやってきた。昭和24年に大井川鉄道が電化された時に導入されたレトロな機関車で、SLに負けず劣らず珍しい車両である。

牽引機は熊本の個人が保存していたのを譲り受けたC11 190、客車はオハ35系3両にお座敷車2両の5両編成である。残念ながら後ろしかホームにかかっておらずここではSLが見えない。


1000両以上製造され旧客の中では一番メジャーといえるオハ35、ドラマの汽車のシーンで見たことある人も多いのでは。当初は東海道本線で使用され超特急「燕」にも連結されていた。今でいうN700系の感覚だったんですね。しかし「昔の汽車」の再現を重視しているため12系や50系を使うJRのSL列車に較べて居住性で劣る。非冷房なので冬に来て正解だったかも。ただ古いとはいえもう少し整備してくれてもよいのでは? 席によってはモケットが汚れたり、クッションがへばったりしていた。


2両のお座敷車は西武鉄道の電車からの改造。そのため外見といい内装といい違和感がある。JR初期にスロ80をもらえばよかったのに・・・

団体列車とかで飲み物をサービスすることを考えて市販の流し台・・・雰囲気ぶち壊し。貫通扉は市販のアルミ戸だし。

などと車内を一通り見てから自分の指定席に行くと、座席の上に予約していた弁当がおかれていた。大鉄フーズが鉄道本社の予約担当に注文者の座席を問い合わせたらしい。
ネットで調べた結果、定番が無難と思い「汽車弁当」を注文、静岡茶の缶とセットで1,350円。代金は発車直後に係員が集金にやってきた。

ネットで調べた結果、定番が無難と思い「汽車弁当」を注文、静岡茶の缶とセットで1,350円。代金は発車直後に係員が集金にやってきた。
茶めし、エビフライ、煮物、天ぷら、シューマイ、エビ甘煮…これだけの品数で1,350円はむしろ安いといえるでしょう。

弁当を食べ始めるとほぼ同時に発車。昔ながらの「駅弁を食べながらの汽車旅」を楽しんでいるとすぐに新金谷着。金谷駅が狭いためマイカーやバスツアー用の駐車場に加え本社や弁当工場まである大井川鉄道の中心駅だが、ここに博物館「プラザロコ」があってもJRで来た客は見学できないorz

ふと後ろを見ると、回送用と思っていた電気機関車が補機としてついてきている。さすがに客車5両で22‰勾配はきついか。車両も線路もローテクなためよく揺れる。

大井川の車窓を眺めながらまったりした時を過ごす。1時間強の乗車時間はあっという間に過ぎて13時13分千頭に到着。

千頭駅の構内はかなり広く井川線ホームのほか、9600形蒸気機関車や古いステンレス電車など使わなくなった車両も留置されている。
到着して初めて牽引機C11 190の撮影が可能に。

構内にはもう一本のSL列車も停車している。牽引機はタイ時代を塗装になっているC56 44。

こっちも補機つき、「いぶき501」というから近江鉄道からの譲渡車かと思ったら大阪セメント伊吹工場でした。

金谷―千頭間往復運賃と同額で乗り放題の「大井川自由きっぷ」を持っているため、帰りのSL急行までの時間つぶしを兼ねて乗り鉄に励む。大井川鉄道は運転間隔がかなり空いていてそうは乗れないが、13時50分発の金谷行きで青部まで二駅戻る。

この列車に使われる車両は元南海のズームカー、今では希少価値となった湘南スタイルの先頭車が特徴。
車内は扉間が転換クロスで車端部がロングシート。臨時特急にも使われ、座席指定がロングシートになることもあったとか。
譲渡元南海のスームカーはこの後ロングシートばかりでしたが、2300系で転換クロスシートが復活しました。

数分で青部に到着、駅前に何も無い無人駅です。駅舎がありますがほとんど廃屋です。

逆光でうまく取れてないのでひさしの下からもう1枚。

後編へ続く

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