2010年北海道旅行
第3章 北斗星

この写真、確かに「北斗星」の寝台券である。しかしよく見ると、発行が博多駅になっている。先月九州に行った時に買った北海道の切符がこれである。

札幌を17時12分に出る寝台特急「北斗星」。しかし平日の帰宅ラッシュが始まった札幌駅に長時間停車させることができず5分前の入線で慌しい出発となる。通勤電車やら「スーパーカムイ」やらが無差別に発着する札幌駅ホームに明らかに「北斗星」とわかる荷物の大きい客が結構いる。どうやら団体ツアーらしい。残念ながらホーム長がギリギリでDD51重連をカメラにうまく入れられなかった。

寝台はコストパフォーマンスに優れた1人用B個室「ソロ」を確保している。編成中にソロは何種類かあるが、私が指定されたのは車両全部ソロの5号車(後は合造車)。中間車ではあるが車掌室があってドア扱いや車内放送を行う編成の要である。以下、室内の写真を載せる。


入り口から室内を、室内から通路を撮影。


角度を変えてベッドを撮影。右下に写るのはテンキー式のドアロック。


通路の上の荷物スペース。かなり余裕がある。

このソロはJR北海道タイプで、枕木方向にベッドを置いた個室を上下L字型に配置している。屋根裏っぽい印象があるが、座ってしまえば天井の高さは気にならないし、階段上なら立って着替えることもできる。以前(サイト開設の2001年)にも同タイプのソロに乗ったことがある。同じソロでも「サンライズエクスプレス」と比べるとかなり広い印象を受ける。「シングル」に格上げして寝台料金を値上げしてもいいくらいだ。ちなみに2009年に廃止された「はやぶさ」「富士」にもこれと同タイプの個室があった。

上野へ向けて出発した「北斗星」ですが、北海道の10月は17時を過ぎるとかなり暗くなっています。ハイデッカー個室からの展望もいいのですが、車内探索に出ることにします。「北斗星」は1988年の登場後少しずつ個室寝台を増やしていった事や、減便で混成編成になったこともあり編成中にかなりのバラエティがあります。1号車から6号車までのB個室とロビーはJR北海道所有で、7号車の食堂車から11号車までと電源車がJR東日本所有です。


8号車のツインDX。価格・サービス両面で中途半端なのかガラガラでした。国鉄時代に作られた部屋のため、細かい造作に国鉄らしさを感じます。


9号車の東日本タイプのソロ。2階への階段が個室の外にある。


東日本ソロの2階室内を撮影。札幌発車時点ではこのような空き部屋が結構あった。

デッキ部分は元の24系そのままで車両の老朽化がよくわかります。「トワイライトエクスプレス」が徹底したリニューアルでデッキ部分もきれいになっていただけに気になります。(「トワイライト」は北海道内の停車駅が少なく、デッキが吹雪で汚れにくいというのもありますが。)


10号車のデュエット下段。「北斗星」はデュエットの数がやたらと多い。


11号車の開放式B寝台。寝台車の中では一番メジャーなタイプですが、私はこれで寝たことがありません(ヒルネで乗ったことはある)。ロイヤルも583系も体験済みなのですが。

引き返して1号車の方へ。2〜4号車はデュエットです。

個室寝台の廊下で補助いすを展開すると邪魔になるのですが、通路側は改造前の開放式B寝台の構造を残したため撤去されないままです。補助いすがない車両は種車が座席者オハ14で車体を新造しているから。窓枠やつかみ棒の形状からも車体が新しいとわかります。

(札幌発車時の)先頭の1号車はBコンパート。料金制度上は開放式B寝台ですが、グループで1区画占領できたときにガラス戸を閉めることができます。ガラス戸がテンキーでロックできる。ガラス戸部分のカーテンを閉めて通路から見えなくできるなど個室寝台としては「トワイライト」のBコンパートより優れています。

Bコンパートには24系25形の一番最初の製造車が使われている。確か1974年製造だったから今年で36年か。「北斗星」も「トワイライト」のBコンパートも長時間乗車に考慮して上段寝台を昇降できる初期型を使っているが、寝台セットが面倒な上にくつろいでいるところに係員が割り込んでくるのを嫌がる乗客がいるので結局上段はセットしたままになり昇降装置は撤去されている。

自室に戻ってくつろいでいたら洞爺駅の停車位置が改札の目の前だったのでつい撮ってしまいました。

20時45分ごろに6号車のロビー室に行ってパブタイムの開始を待ちます。翌朝にロビーを通ると無人だったので撮影しました。


テーブル上の丸いのは灰皿跡と思われる。昔は喫煙可が当たり前だったんですねえ。

パブタイムの開始は21:15頃と聞いていたのですが、ディナーの片づけが早かったらしく21:00には開始しました。


「北斗星」の食堂車。「トワイライト」と同じ元電車のスシ24。


食堂車の内部

目当てのメニューの売り切れを心配して一番に来たのですが、目的の「ビーフシチューセット」を注文することができました。人気メニューなので下り列車で売り切れてる心配もあったのですが。


ビーフシチューセット(2,500円)
「北斗星」デビュー当初はこれも予約制ディナーのメニューだった。

実は私、今までビーフシチューを食べたことがありません。しかし昔からブルトレの食堂車の定番メニューとして有名だったため今回試してみることにしました。シチューの牛肉は脂がたっぷりのっていておいしかったです。暗いながらもなんとか見える車窓を眺めながら食後のコーヒーを優雅に飲みます。しかし2001年に「北斗星」に乗ったときはパブタイムも混んでいた記憶があるのですが、夏休みと10月の平日とでは客層が違うのかあまり客が来ません。中年のツアー客は自室で騒いでいるのでしょうか? すでに食事を済ませたのか、6歳と3歳ぐらいの姉弟にデザートを食べさせながら飲んでいるお父さんがいました。北海道新幹線開業時に「北斗星」「トワイライト」廃止(E26系もそろそろ減価償却終わるので「カシオペア」だけ残す理由もない)で全滅しかねない食堂車ですが、この子達が食堂車を知る最後の世代になるのでしょうか?

函館には21時41分に到着。ここで編成の反対側にED79を連結して青函トンネルに入りますが、「北斗星」に乗り遅れて「北斗20号」で追いかけている乗客がいるのか本来は接続しない「北斗20号」を待ってから発車するとのことで6分遅れた。

もう歯を磨いて寝ようと思う。個室なので安心して眠れる。走行音で青函トンネルはわかったが、第3セクター鉄道の通過は夢の中だった。


2010年10月13日(水)

福島停車中に目が覚める。新型機関車EF510の性能か遅れは回復していた。函館で進行方向が変わった後、そのままの向きで青森信号所を通過したので個室内の座席が進行方向を向いている。進行方向2階というベストポジションからの車窓をしばらく楽しんだ後、ロビーに行って食堂車の営業開始を待つ。しばらく待つと朝食タイムが始まるが、昨夜と同じ車両なのに外が明るいと違って見えるから不思議だ。

昔の「北斗星」の朝の食堂車は和食がすぐ売り切れると聞いていたが、現在は合理化のためか洋食とおかずが共通で「パン・スープ」と「ご飯・味噌汁」の選択のみになり、ご飯も余裕があるのか売切れにくくなっている。優雅な朝食を楽しんでいるといつの間にか食堂が満席になり、係員が「隣のロビーで待ってください」と案内している。朝早く来て正解だったようだ。パブタイムの閑散ぶりから乗車率を心配したが実は結構乗っていたようだ。あとで開放式B寝台を見たところほとんどの寝台が使われており平日にしては良好な乗車率である。2008年の減便は間違いだったのではないか?

食後は個室の高い窓からかつての大幹線・東北本線の車窓を楽しむ。やはり貨物列車とのすれ違いが多い。交直の切り替え駅黒磯はスピードを落としながらも通過する。E231が見えて東北から首都圏に入ったと実感する。しかしE231系と701系が離れたホームに停車しており、どちらも折り返しなのだから同じホームで接続できないものかと思う(自分も昔ここで階段上った経験あり)。また廃止が決まった「おはようとちぎ」の185系も見える。構内には貨物用のEF66、EF210、EH500が待機している。EH500も黒磯を通過できるのだが、走行距離がかさんで検査周期が短くなるため、結局黒磯で機関車交換しているようである。JR東日本もEH500を導入すれば東北縦貫線の急勾配を越えて「北斗星」の東京発着が可能になるのだが…

宇都宮駅では2分の停車時間があるため、ホームに下りて最後尾の客車を撮影する。

宇都宮を過ぎると住宅地が増える。栗橋の東武連絡線も見た。211系、231系の二階建てグリーン車ともすれ違うが、床面が直立できない高さにあるだけこちらのほうが視点が高い。大宮は9時10分着、9時12分発のはずだが、少し遅れたのか9時14分の「あかぎ4号」と同着。衰退しているといわれる新特急だが、グリーン車こそ1人2人しか乗ってないが12両の普通車はほぼ満席。時間帯がよいとはいえ捨てた乗車率でもないので185系の後継車を期待したい。


大宮駅構内で留置中の253系(旧成田エクスプレス)

この先、尾久車両センターなどを眺めながら9時38分に上野駅に到着。「トワイライト」同様全く退屈しなかった。
新型機関車EF500はここで初めて撮影できた。


3ヶ月前から「北斗星」の本州内を牽引している新型機関車EF500

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