博多駅で駅構内の店を覗いて回る。みやげ屋に「つばめ」や「白いかもめ」関連のおもちゃ(チョロQなど)は以前からあったが、デビュー前だというのにN700系「さくら」のグッズまで出ている。しかもロールアウトしたばかりの8000番台R編成(JR九州所有車両)と明記されている。

駅をうろうろしているうちに中途半端な時間になったのでホームの待合室で持参した漫画を読んで時間を潰す。787系や885系など九州の特急を真近で見るのは今回が初めてである。

一応博多駅でいくらか撮影していますので掲載。
787系「リレーつばめ」
885系「白いソニック」
883系「ソニック」
コルゲート無しのアルミ車が混ざっているが、青塗りで編成美をごまかせている。

そのうちに「ゆふいんの森5号」が入線してくる。「5号」に使われている車両は1999年製のキハ72系、通称「ゆふいんの森III世」である。ハイデッカーの「I世」のデザインをベースにデッキにつり橋を架けて貫通路もハイデッカーとし、階段なしで車両移動ができるようにしたのが特徴である(乗客がビュッフェに行くのもビュッフェ係員のワゴンサービスも便利)。そのほか観光列車にしては珍しく小窓(座席1列に窓ひとつ)になっている。もっともこの方が車窓を独占しやすいという意見もあり、また席番によっては向かい合わせにしたときに窓枠が中央に来るという悲劇を避ける意味もあるのだろう。


車内から運転席を見る。ここの席は空いている時でもプラチナチケット。
排気管でもあるのか、窓側AD席からの前面展望は厳しい。

14時33分に出発。さっき通ったばかりの鹿児島本線の車窓を今度は高い位置から眺める。ビュッフェの営業を開始したとの車内放送があったのでさっそく訪ねてみる。実は今回の旅、現在の時刻表で唯一となったこのビュフェこそが最大の目的である(東武のページにはビュフェマーク無し)。「ビュフェ」とはいうものの座席への持ち帰りオンリーで以前は「カフェテリア」と呼んでいたのもうなづける。一応小さなテーブルはあるが、狭いので食べていたら邪魔になるので仕方ない(「I世」は隣にフリースペースがあるのでそっちで飲食可能)。弁当やみやげがメインで売店との差が微妙だが、電子レンジとはいえ唯一の調理メニューである「あんかけやきそば」を注文する。自席に戻って食べたが、具がたっぷりで味はまあまあ。しかし場所が九州だけあって「皿うどん」とどこが違うのか非常に気になる。

「ゆぐいんの森」ビュフェのレポートはこちら。

久留米から久大本線に入る。久大本線で使われているローカル用車両は国鉄出身のキハ47、典型的な「ローカル線の車両」であるキハ125、都会の快速用三扉転換クロスシート車を両運転台にしたキハ220が混用されているようである(ローカル線は一車種で固めるケースが多いのだが)。

途中で「I世」車両使用の「ゆふいんの森4号」とすれ違う。見た目の似ているハイデッカー車だが、こっちが乗っている「III世」の方が荷棚を飛行機のようなカバー付きの大型にしている分床が少し低いようである。

このほか183系の「ゆふDX4号」とすれ違う。この黄色いディーゼルカーは2運用の定期特急に1編成だけ入るため隔日運転になってしまいスケジュールに組みにくく、観光客にどれだけ利用されているか疑問である。「ゆふいんの森II世」に復元して「I世」「III世」の検査予備車にするべきではないのか?

だんだん山奥に入ってきており、JRの狙い通り車窓を楽しむことにずる。途中の滝がよく見えるよう減速するサービスもある。久大本線といえば使われなくなったターンテーブルと扇形機関庫がテツに有名だが、デジカメを常時スタンバイさせているわけではないので撮り逃した(筑後船小屋駅もorz)。

博多から2時間あまりで由布院に到着(16時44分)。折り返し17時07分発の6号ですぐに戻るため駅前広場とみやげ屋から離れられない。観光地ですぐ引き返してももったいないと思わないのが鉄スタイル(笑)。行きと全く同じ車両が車内清掃を終えてドアが開く。ホームの足湯には多少の未練を感じながら乗り込む。



表示幕が20世紀生まれの証。今はLED全盛ですから…

日曜日の夕方に博多に帰る列車ということで満席というほどではないが結構な乗車率である。指定券を確かめて自分の席に行くと3人連れが座席を向かい合わせにしていた。少し狭い思いをしたが、しばらくしてビュフェ隣のボックスシートに移って行った。3号車にはビッフェとボックスシートの他バリアフリー対応設備もあり、サハシ787と新幹線37形の役割を兼ねているようだ。

5号で売り切れていた地ビールだが、由布院で積み込んだらしく6号では販売している。ビッフェへ行き「ゆふいん燻家鶏もも身の燻製」と一緒に注文する。


鶏肉をレンジで温めてからプラスチック容器にピクルスと一緒に並べてくれるため調理メニューの一種といえる。

しかし車端・ハイデッカー・ローカル線の三重苦のため待っている間かなり揺れた。これではビュフェでの食事など無理だろう。プラスチックのカップに入れたビールを持って自席に帰るのも苦労するくらい揺れる。ビールはあまり飲まない私だが、この地ビールは普通のビールと違って苦味が無いため結構いける。燻製もインスタントとはいえつまみとしては十分である。

日没の遅い九州とはいえ、18時ちょうどに日田を出てしばらくたつと暗くなった。車窓を諦めてリクライニングを倒すことになる。鹿児島本線に入り、博多には19時15分に到着。

乗り換え時間が20分あるため駅弁屋をいくらか回り、新幹線コンコース内で「鶏めし弁当」を購入。ところで新幹線と在来線で会社の違う駅は場所によって売ってる駅弁が異なる。国鉄を分割・民営化した際に新幹線・在来線ホームの境界で会社の敷地を分け、そこでそれぞれのJRの子会社や取引先が駅弁を販売しているからだが、博多駅はJR九州所有地の在来線ホームを九州新幹線に転用しており、新幹線コンコースは西日本と九州の敷地が混ざることになる。果たしてここで両方の駅弁が買えることになるのだろうか?

帰りの新幹線は19時35分発の「ひかり582号」。デビュー10周年でレールスターに初めて乗る。「ウエストひかり」→「ひかりレールスター」→「さくら」と継承された2&2シートに座ってさっき買った駅弁を広げる。鶏の身がそのまま入っているこれのほうが、九州名物かしわめしのそぼろごはんよりも個人的に好きである。

「ひかりレールスター」はN700系「さくら」の投入で引退がアナウンスされているが「こだま」への転用が確実だから心配していない。500系と違って無改造でそのまま使えるし。ただ利用率が芳しくないコンパートメントは何らかの動きがあるのではないか。潰して開放室にするか、ドアを撤去してボックスシート扱いにするか。

日曜日の夜ということもあり乗車率はまあまあだが広島・岡山と次第に降りていき新大阪到着時は寂しい状況に。外が真っ暗なこともあり私はリクライニングシートを倒して寝ていた。おかげで帰宅して3時間ほどしか眠ってないのに翌日の仕事に支障なし。

さてこれで日帰り九州旅行も終わりました。久しぶりの乗り鉄ですが楽しかったです。さて来月は本文中で切符を買った北海道ですね。

北海道編に続く?

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